本年の羽毛業界における変動は、まさしく激動といって良いものだと思います。

 昨年までの羽毛原料の国内供給では双日+マザーバードで市場の70%以上を占めると言われておりました。

 この2社にほぼ同時に大きな変化が起きたのです。

 まず、双日が今年の初めに、国内での寝装寝具の供給を一部残して撤退することを発表しました。

 来年の3月までで撤退することになっておりますが、この動きは現在でも加速しているようです。

 次に本年4月28日にマザーバードとフジライフが同日に民事再生法の手続きに入りました。

 これまで、羽毛原料供給の主役は次の主役が出てくることにより、前者が退場していくといった流れでしたが、今回は次の主役がいないままに主役が退場することになり、業界全体が大変なことになってきております。

 いったい羽毛業界はこれからどうなっていくのでしょうね。

 羽毛布団の原料は主に商社が扱ってきましたが、時期によって力を持つ商社が変遷してきました。

  私の知る限り最初に商社として羽毛原料で力を持ったのが、伊藤忠商事でした。

 伊藤忠商事はハンガリーで大きなネットワークを持ち、羽毛原料供給で主役に躍り出ましたが、担当者の契約履行に対する厳しさや契約書へのこだわりが強く、繊維業界になじまなかったようです。

 その後、兼松→ニチメン→双日と主役が交代してきたのです。

 この交代劇の中にも色々なエピソードや栄枯盛衰もありましたが、近年の激変からいえば色あせた感があります。

 近年の激変については、次回に。

ロシアの羽毛

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 ヨーロッパの羽毛生産大国だったポーランドとハンガリーがEUに加盟して、人件費が上がり工業国化がすすむ中で、安定した羽毛原料の確保が困難になってきた。

 更に、的を射ているかどうかは別にして動物愛護の観点から、ライブドハンドプラッキングが禁止の方向で推移しているため、特に高級原料の供給が非常にタイトになってくるおそれがある。

 このような現状で、今後羽毛原料の安定した供給元として期待されているのが、ロシアと旧ソ連邦だった国々である。

 現在ではロシアとウクライナが特に注目されているが、今回はロシアの話になる。

 ロシアでの原毛の産地はウラル山脈の東側、地政学上の亜細亜地域シベリアが主である。

 シベリアではノボシビルスクを中心としてかなり広範囲から原料を集め、精毛しているが、現状ではあまり高精度の精毛施設はない。

 ロシア全体で見ても鳥の屠殺場であるスローターハウスを初めとする、本当に良い原料を作り上げていく施設がまだまだ未整備なので今後の整備に期待しなければならない。

 まだまだ発展途上ではあるが、今後に期待したい國である。

中国の羽毛

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 中国の羽毛事情は簡単に言うと北方はグースが主で、南方はダックが主になっております。

 黒竜江省、吉林省、遼寧省の東北三省以外にも安徽省がグースの産地としては有名です。

 南方のダックの中には一部ベトナムの羽毛が混入しているのは周知の事実で、現地ではバンブーダックと呼ばれているという話を聞いたことがあります。

 南方のダックは広範囲でとれているようですが、私見では四川省で良い羽毛が採れる感があります。

 やはり良い羽毛が採れる条件としては、豊かな自然(特に良い水)と寒暖差のある気候が上げられますので四川省はこの条件に当てはまります。

 某大手カタログ通販で有名な羽毛原料ミンシャンもこの四川省の羽毛です。

 先日はポーランドの羽毛について書きましたが、本日はハンガリーの羽毛についてです。

 ポーランドが小規模農場が多いのに比べて、ハンガリーは比較的、大規模農場が多く、一農場あたりの鳥の飼育数も数万羽の規模に達します。

 輸入商社では伝統的に伊藤忠がハンガリーに強く、かつてはハンガリーの羽毛といえば伊藤忠のシェアが高かったが、近年ではあまり名前を聞かない。

 メーカーでは京都西川が、ハンガリーの羽毛をフェヘールリバという名前を付け、比較的高額品として位置づけている。

 これらハンガリー、ポーランドの羽毛事情には私が以前、これらの地域を訪れた際の出張記がありますので、合わせてご覧いただければ、より一層ご理解いただけるかと思います。

http://www.futonten.info/trip/

 先日、国別の羽毛事情にも違いがあると書いたが、本日はポーランドの羽毛事情を簡単に記す。

 ポーランドは比較的小規模な農場が多く、一部の例外的な大規模農場をを除くとほとんどが零細小規模農場です。

 このため1農場あたりの鳥の飼育数も少なく、その分、飼育に手間をかけることも可能で非常に良い原毛がとれるのも確かである。

 しかし、やはり農場毎に品質にばらつきがあるのも事実である。

 これらは通常、農場毎に原毛が管理されることはなく、スローターハウスと呼ばれる屠殺場で採取された場合は屠殺場で、農場でライブドハンドピクトされた原毛は精毛場で一緒くたにされる場合が多い。(このライブドハンドピクトもできなくなってきている模様)

 但し、稀に精毛場や商社と契約して、地域や農場を指定して良質な原毛のみを輸入するといったことをしているメーカーもあるが、やはりこれは高額にならざるを得ない。

羽毛の産地

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 羽毛の産地でハンガリーとポーランドのどちらが良いのか?という疑問を聞くことがあります。

 以前は西川産業が意図的にMDを組みやすくするために、ハンガリーよりもポーランドの羽毛の方が高品質といったストーリー作りをしていた節があるので、一部の地域ではポーランドの羽毛の方が良いと思っている方も多いと思います。

 しかし、答えは当たり前の話ですが、「ハンガリー、ポーランドどちらにも高品質の羽毛もあれば、低品質の羽毛もあるので一概には言えない」ということです。

 確かに国別の傾向はありますが、これがどこまで活かすことができるかは、はなはだ疑問です。

 よって、このメーカーはハンガリーが得意なので、このメーカーではポーランドよりハンガリーの羽毛が高品質、またはその逆ということはあっても、一般論としてどちらが良いということはナンセンスでしょう。

 

ダウンプルーフ加工は羽毛が生地から飛び出さないようにする加工のことです。

どのような加工かというと、生地を高密度に織り上げた後、樹脂加工をして通気度を調整するというのが一般的です。

このダウンプルーフという名称は実をいうと、昭和39年に株式会社イワタが開発した羽毛布団用の生地につけたのが最初ということです。

しかし、ダウンプルーフ元祖である株式会社イワタの羽毛の生地には、現在も樹脂加工をしていないので、樹脂加工=ダインプルーフ加工というのが一般的ですが、厳密にいうと樹脂加工=ダウンプルーフ加工というのは間違いなのです。

株式会社イワタのダウンプルーフ加工は、企業秘密になるので詳細は公表されておりませんが、糸と織り方、そして織り上げた生地に熱加工をすることのバランスによって羽毛の吹き出しをとめているようです。

日羽協

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本日は日羽協について

我々小売業で日羽協というと「日本羽毛協会」のことではなく「日本羽毛製品協同組合」のことです。

これは昨年、「日本羽毛寝具製造業協同組合」から現在の「日本羽毛製品協同組合」に名称変更したばかりで、製造の意味合いが強い団体です。

ここがニューゴールドカードやエクセルゴールドを初めとするゴールドカードを発行している団体です。

ちなみに羽毛布団関係で他に日本羽毛輸入協会、羽毛ふとん地流通協会等があります。

たたき

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今回は羽毛布団のキルティングについて

羽毛布団は当初、たたきと呼ばれるキルティングで販売されておりました。

このタタキというキルトは現在でも羽毛肌布団で多く使用されており、当初は袋状に縫った側生地に羽毛を後から吹き込み上下をミシンで縫いつけておりました。

簡単な作りですので手間がかからず作れるのですが、羽毛がふくれたときに上下を縫いつけた部分が暖かくないということで段々と肌布団以外では使われることが少なくなってきました。

このタタキキルトの欠点を解消するということで考案されたのが後に主流となってくる立体キルトです。

この立体キルトが市場に登場し始めたのが私の記憶では昭和60年代に入ってからですのでそんなに古い話ではありません。

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